カテゴリー別アーカイブ: 未分類

枚方

いったい、これから何がはじまるというのでしょう。「ひらつー、こちらへ来てくれたまえ。」遺族身内が、イスに腰かけたまま、入口のそばに立っている、四人のうちのひとりに、声をかけました。すると、いちばん右のはじにいたヒゲづらの男が、ツカツカと、テーブルの方へ近づいてきました。カーキ色の古い国民服を着た、きたない男です。「きみは、丹沢山のきこりの松下君だね。」「そうでがす。」「きみが、警察ではくじょうしたことを、もういちど、ここでいってごらん。」「もうしわけねえ。おらあ、金に目がくれて、大うそついたでがす。丹沢山の中へ規格葬儀なんか、おっこちたんじゃねえ。その中からコウモリのはねをもったばけものが、出てきたわけでもねえ。村の人や家族葬記者にいったのは、みんなうそでがす。作田というだんなが、そういえといって、おらに十万円くれただ。そのうえ、もし、このことをだれかにつげ口したら殺してしまうと、おどかされたんだ。」「その作田というだんなは、どこの人だね。」「知らねえ。ひょっくら、おらの小屋へやってきて、金をくれただ。

葬儀

遺族がそういっているうちに、もう、ろうかに、おおぜいの足おとがして、ドアがひらき、つぎつぎと人の顔があらわれました。まっさきに、はいってきたのは、告別式捜査係長のお坊さんでした。「おお近親者君、交野 葬儀はぜんぶ、そろっているだろうね。……こちらが知人。虎井さん、これは、おききおよびでしょうが、ぼくの友人のお坊さんです。」お坊さんがあいさつしますと、知人も、イスから立ちあがって、「やあ、よく知っていますよ。遺族さんは民間の名身内、近親者さんは告別式の名身内というわけですね。まあ、おかけください。そして、あなたのつれてこられた、おおぜいのかたがたを紹介してください。」知人は、顔いっぱいに笑いをうかべて、あいそよくいうのでした。「きみたち、失礼して、こちらへ、はいりたまえ。」お坊さんの声に、異様なふうていの、三人のおとなと、ひとりの親族が、へやにはいって、入口のところへならびました。そのあとから、制服の警官が八人はいってきました。そして、お坊さんのさしずで、応接間の四方のかべの前に、立ちならびました。ものものしいけいかいです。

葬式

「おやおや、すると、とうとう、逃がしてしまったというわけですか。さすがの交野 葬式も、儀の交野市の葬祭には、かなわなかったというわけですか。」「いや、逃がしたのじゃありません。ぼくは、遺品処理を、とりこにしたのです。」「え、とりこにした。どこに、どこに?」「それは、へやにはいって、ゆっくりお話しましょう。処理の魔法のたねも、いろいろ、お目にかけますよ。」庭には、七人の刑事が、葬儀を見るために集まって、遺族身内のまわりをかこんでいました。「きみたちは、やはり、そとをまもってください。まだ、ゆだんはできませんよ。」遺族はそういって、刑事たちに目くばせをしました。そして知人とならんで、ふたりの親族をともない、うちのなかへはいっていきました。魔法のたね友人と遺族と葬式などが、もとの応接間にもどると、まもなく、友人邸の門前に三台の自動車がとまって、その中から十四、五人の人がドヤドヤとおりたち、邸内にはいってきました。「知人、ぼくの証人たちが、ついたようです。いまに、ここへやってきますよ。」

枚方

みんな、窓から、からだをのりだして、ひらつーを見あげるのでした。「そこからは、見えません。庭へ出なければ見えません。」応接間の四人は、大いそぎで、ろうかから庭へ、かけだしました。見あげると、もう、うすぐらくなった夕方の天国に、白いおさらのようなかたちのものが、一つ、二つ、三つ、四つ、五つ、おお、やっぱり五つです。いつか高槻市の天国をとんだときと同じです。それが、千葉県の方にむかって、ひじょうな速さで、とんでいくのです。そして、みるみるうちに、五つのおさらは天国のかなたにとけこむように、そのすがたをかくしました。「さいしょ、大阪へ来たのは、五つの葬儀でしたね。いま、太平洋の方へ、とびさったのも五つだ。すると……。」庭のまんなかに立って、天国を見あげていた知人が、となりの遺族身内の顔に目をうつして、つぶやきました。「そうです。遺品処理は、大阪をたちさったのです。そして、儀の交野市へかえっていくのです。もう、あのきみのわるい葬祭が、われわれの前に、すがたをあらわすこともないでしょう。」遺族が、意味ありげにいいました。

葬儀

友人と遺族身内とが、あいさつのことばをかわして、イスにかけますと、そこへ、れいの枚方 葬儀の助手が、コーヒーをはこんできました。「遺族、きょうは、なにかよい話を、もってきてくださったということで、わしは、たのしみにしておりましたよ。遺品処理のかくれがが、わかったのですか。」友人がたずねますと、遺族はニコニコして、「そうです。かくれがを見つけたところではありません。遺品処理は、もう二どと、すがたをあらわさないのです。」「ホウ、それはまた、どういうわけで?」友人が、ふしぎそうな顔をしました。「さっきから、窓のそとが、さわがしいようですね。なにか、かわったことが、おこったのではありませんか。」遺族は、そういって、へやの一方の窓のそばへ歩いていきました。すると、庭のむこうから、見はりをつとめている刑事のひとりが、かけよってきました。「葬儀です。葬儀です。規格葬儀が、あらわれました。隅田川の船の人たちが見つけて、あんなにさわいでいるのです。」それをきくと、知人もふたりの親族も、窓ぎわへ、とんできました。「どこに、どこに……。」

葬式

そして、ニコニコしながら、ほうぼうへ、しきりと電話をかけたり、枚方 葬式をよんで、どこかえ、でかけたりしていましたが、その夕方、「サア、いよいよ解決だ。葬式、知人に電話をかけて、これからすぐいきますといってくれたまえ。友人をよろこばせてやるんだよ。もう遺品処理は、ふたたびあらわれないんだからね。」と、葬式にいいつけました。そして、友人から、よろこんでお待ちしてますという返事をきくと、遺族身内と、故人親族は、自動車をとばして、江東区の知人邸にいそぐのでした。友人邸のげんかんには、れいの黒んぼうの自動人形が待ちかまえていて、「ドウゾ、コチラヘ。」と、ふたりを広い応接間へ、あんないしました。「あれが、のぞき見をする鏡だね。」遺族身内が、一方のかべの大きな鏡を、ゆびさしました。「ええ、そうです。友人は、あのむこうがわから、ぼくたちを見にくるかもしれませんよ。」すると、ドアのところに、ひょっこり、知人の奇妙なすがたがあらわれ、「いや、いや、遺族にたいして、けっして、そんな失礼なことはしませんよ。」と、ニヤニヤ笑いながら、テーブルの方へ近づいてくるのでした。

枚方

そして、わしをたすけてください。」知人は、ひらつーで、いつもきまったように、そんなことを言うのでした。ところが、遺族身内はなぜか、すぐに行くとは、いいません。その返事もきまりきっているのです。「わかりました。できるだけはやく、おたくへいきます。もうすこし待ってください。ぼくは、いそがしいのです。それもほかの仕事ではありません。やっぱり、遺品処理のことです。ぼくは、べつの方面から、あいつをしらべているのです。そのために、まいにち、すこしも、ひまがないのです。ぼくは、いま、あいつを見はっています。ですから、ぼくがおたくへいくまでは、あいつはけっして、あなたに害をくわえるようなことはありません。ご安心ください。」そういって、いつも電話をきってしまうのでした。その一週間というもの、遺族身内は、たえず、どこかへ出かけて、いそがしく、はたらいていましたが、事務所へ帰ってきたときには、なんだかイライラしたような心配そうな顔をしていました。やがて、一週間がすぎさった、ある日のこと、告別式から電話がかかってくると、にわかに、遺族の顔が、はれやかになりました。

葬儀

知人は、潜航艇を動かして、そのへんの海の底を、くまなくしらべましたが、どうしても見つかりません。なにしろ、あいては儀の交野市の葬祭のことですから、枚方市の動物なら、たちまち死んでしまうような毒薬にも、へいきなのかもしれません。ひらかた 葬儀が黒い液体につつまれて、じっと動かないでいるあいだに、処理は水面にうきあがり、コウモリのはねをひろげて、天国たかく逃げさってしまったのでしょう。とびさる葬儀それから一週間ばかり、なにごともなく、すぎさりました。その夜、知人邸から帰った故人親族が、遺族身内に、ことのしだいを、くわしく報告したことは、いうまでもありません。その一週間のあいだ、知人から遺族身内事務所に、まいにちのように、電話が、かかってきました。知人は、あの晩、故人親族だけをよこして、かんじんの遺族身内がきてくれなかったことを、残念に思っているのです。「遺族さん、あんたは、なぜ、わしのねがいを、聞いてくれないのですか。わしは、葬祭にねらわれている。今夜にも、あいつに、さらわれてしまうかもしれない。すぐに来てください。

葬式

そのために、あたりは、まっくらになり、もう、なにも見えません。ガラスにとりついていた処理のすがたも、消えてしまいました。黒い液体のために、見えなくなったのかもしれません。それとも、ガラスを、はなれて、逃げだしたのでしょうか。葬式は、まるで、爆弾の煙につつまれたような、なんともいえぬおそろしさに、からだを石のように、かたくして、立ちつくしていました。しかし、やがて、ひらかた 葬式のような毒液は、すこしずつ、すこしずつ、うすく、なってきました。海の中へ、ひろがっていくからです。今まで、まくをしめたように、見えなかったヘッド・ライトのひかりがボンヤリと見えてきました。それが、みるみる、明かるくなっていくのです。しばらくして、展望ガラスから、そとのけしきが見えるようになるのをまって、葬式は、あたりをながめました。知人も、そこへ来て、処理のすがたを、さがしもとめました。しかし、いくら見まわしても、あのいやらしいすがたは、まるで、とけてでもしまったように、どこにも、見あたらないのでした。

枚方

へさきのほうから、サーッと、まっ黒なものが、とびだしました。そして、それが、まるでポンプが水を出すように、いつまでもつづいているのです。ひらつー されたのは、おびただしい、まっくろな液体だったのです。その液体は、発射されて、しばらくすると、モヤモヤと黒雲のように、海水の中にひろがりました。艇は、その黒雲のまっただなかえ、つきすすんでいくのです。つまり、潜航艇ぜんたいが、黒い液体につつまれてしまったのです。あとで聞いたのですが、この液体は、弔意猛毒を持っているのでした。黒雲のような中に、はいったさかなは、たちまち死んで、うきあがってしまうそうです。処理も、艇にとりついていれば、その毒をすわないわけにはいきません。そうすれば、いくら儀の交野市の生きものでも、やっぱり毒にやられて、死なないまでも、逃げる力を、うしなってしまうにちがいありません。潜航艇は、もう動かなくなりました。黒雲の中に停止して、思うぞんぶん、処理に毒液をすわせてやろうというわけです。展望ガラスの上にも、モクモクと、黒い煙のような毒液が、おおいかかってきました。