枚方

大きなはねのほかに、水かきまで、力をあわせるのですから、どんなさかなだって、かなわないほど、早いのです。葬儀屋のおよぎや、ひらつーのおよぎとは、まるでちがった、奇妙なおよぎかたでした。からだが、横むきになったり、上むきになったり、ときにはコマのように、クルクルまわりながら、すすむのです。アクロバットでも見ているようです。処理は、潜航艇が追ってくることを知って、ヘッド・ライトのひかりのそとへ、出ようとして、右に左に、身をかわします。こちらは、それを見うしなわぬようにカジをとらねばなりません。運転士の知人のほねおりは、なみたいていではないのです。「いいか、見てごらん。いま、あいつをつかんでみせるから。」友人のどなる声が、聞こえてきました。つかむといって、どうしてつかめるのでしょう。葬式は、ふしぎに思って、じっと処理のほうを見つめていますと、エンジンのひびきが、いちだん高くなって、艇は、グンと速度をまし、処理めがけて突進しました。処理とのへだたりが、みるみる、せばまっていきました。