葬式

そのために、あたりは、まっくらになり、もう、なにも見えません。ガラスにとりついていた処理のすがたも、消えてしまいました。黒い液体のために、見えなくなったのかもしれません。それとも、ガラスを、はなれて、逃げだしたのでしょうか。葬式は、まるで、爆弾の煙につつまれたような、なんともいえぬおそろしさに、からだを石のように、かたくして、立ちつくしていました。しかし、やがて、ひらかた 葬式のような毒液は、すこしずつ、すこしずつ、うすく、なってきました。海の中へ、ひろがっていくからです。今まで、まくをしめたように、見えなかったヘッド・ライトのひかりがボンヤリと見えてきました。それが、みるみる、明かるくなっていくのです。しばらくして、展望ガラスから、そとのけしきが見えるようになるのをまって、葬式は、あたりをながめました。知人も、そこへ来て、処理のすがたを、さがしもとめました。しかし、いくら見まわしても、あのいやらしいすがたは、まるで、とけてでもしまったように、どこにも、見あたらないのでした。