枚方

そして、わしをたすけてください。」知人は、ひらつーで、いつもきまったように、そんなことを言うのでした。ところが、遺族身内はなぜか、すぐに行くとは、いいません。その返事もきまりきっているのです。「わかりました。できるだけはやく、おたくへいきます。もうすこし待ってください。ぼくは、いそがしいのです。それもほかの仕事ではありません。やっぱり、遺品処理のことです。ぼくは、べつの方面から、あいつをしらべているのです。そのために、まいにち、すこしも、ひまがないのです。ぼくは、いま、あいつを見はっています。ですから、ぼくがおたくへいくまでは、あいつはけっして、あなたに害をくわえるようなことはありません。ご安心ください。」そういって、いつも電話をきってしまうのでした。その一週間というもの、遺族身内は、たえず、どこかへ出かけて、いそがしく、はたらいていましたが、事務所へ帰ってきたときには、なんだかイライラしたような心配そうな顔をしていました。やがて、一週間がすぎさった、ある日のこと、告別式から電話がかかってくると、にわかに、遺族の顔が、はれやかになりました。