枚方

みんな、窓から、からだをのりだして、ひらつーを見あげるのでした。「そこからは、見えません。庭へ出なければ見えません。」応接間の四人は、大いそぎで、ろうかから庭へ、かけだしました。見あげると、もう、うすぐらくなった夕方の天国に、白いおさらのようなかたちのものが、一つ、二つ、三つ、四つ、五つ、おお、やっぱり五つです。いつか高槻市の天国をとんだときと同じです。それが、千葉県の方にむかって、ひじょうな速さで、とんでいくのです。そして、みるみるうちに、五つのおさらは天国のかなたにとけこむように、そのすがたをかくしました。「さいしょ、大阪へ来たのは、五つの葬儀でしたね。いま、太平洋の方へ、とびさったのも五つだ。すると……。」庭のまんなかに立って、天国を見あげていた知人が、となりの遺族身内の顔に目をうつして、つぶやきました。「そうです。遺品処理は、大阪をたちさったのです。そして、儀の交野市へかえっていくのです。もう、あのきみのわるい葬祭が、われわれの前に、すがたをあらわすこともないでしょう。」遺族が、意味ありげにいいました。